イギリス人の愛社精神
日本では徐々に愛社精神などと言う言葉は消えつつある。それが時代の流れなのか分からないけど、欧米では、昇進を考えて、次々に転職する事が当たり前の感覚だと思っていた。私が働いているのは、日系企業の現地法人であり、日本人は若干いるが主要な立場、更には業務を遂行するメンバーは、基本的にイギリス人となっている。
そうすると人はどんどん出ていき、入れ替わるのだろうか?って疑問に思う人は多いと思う。私も実際、あまり気にしていなかったが、ちょっとした時に部下を昇格するタイミングで本人に聞いてみた事があった。昇格といっても、内部選抜・外部登用・指名登用など色々とある。今回は、まさに指名登用で上層部の人が選抜した。
そこで本人にまずは昇格に際し、反対かどうか、また、今後どのようなステップを考えているのか、など日本ではあまりやられない事をしっかりと本人と話をする。
日本の様にゼネラリストを育成するなら、将来コアな技術を持ちたいとか、コアな業務を継続してスペシャリストになりたいなど聞かれる事は一切なかった。
その結果、今私はここにいるんだが、それはそれで満足はしている。
さて、話はそれてしまったが、今後何がしたい?って所に反応として、
「会社を良くしたい、今よりさらに良くなるように全力でやりたい」って返ってきた。
あれ???私が勝手に思っていたイメージである所詮会社はステップの為の階段であって、次があればそっちに向きを変えて簡単に会社を去っていくとおもっていた。
それが全く想定していなかった答えだった。なぜ?いつから?会社を良くしたい?そんな感覚になったのだろうか?それもついでに聞いてみた、だって彼は転職してウチに来た人なんだ、そんな気持ちがあるなら、なぜ前職を辞めてきたのか?
「自分の居場所があって、自分の要求に会社が応えてくれた、だから今もここにいる。次は自分が部下や若手を育てる事で会社に貢献できるだろうし、会社を良くする為に自分の出来る事をやっていきたい」
う~ん、結局本人の希望をある程度聞いてくれる会社だったから、更には、会社がフレキシブルに人材育成を行っていて、本人の意向が加わっていけば、満足度は上がるって事なんだ。だから、そのまま会社に居ても居場所があるし、居心地も良いってことなんだなって学べた事は、嬉しい誤算だった。今の窮屈な経済状況でも、少しでも前向きに考えて仕事をやっていこうって思える環境を作ってこそ、会社の生存価値なんだと思うし、それによる人材が人財につながる事が将来の発展の礎だと思う。